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第九番 慈光寺 其の仁 -是非-

汗をかきかき旧道を登りきると門が見えてくる。大人しくも美しいツツジを眺めつつ中門をくぐり、本坊で一息つく。奥の方に住職らしき方がおられた。高齢の住職はじっと座っており、まるで床から生えているような落ち着いた様子である。ご朱印をお願いすると、住職はさらと筆を進めつつ、ここの観音様は左手の一本が母が子を背負う格好をしているのだとか、是非という言葉の意味はこうだとか、いろいろありがたい話をして下さったのだが、暑さと疲労でほとんど頭に入らなかった。

住職にお礼を言い、本坊を出ると丁度正午だった。慈覚大師が植えたと伝わる樹齢千百余年という多羅葉樹を眺めていると、背後から、たたたたたたたた、と早足で迫る足音。はっと振り返ると、生えていた住職が思いがけない速さで走り寄ってきた。まだ何か話を聞かなくてはならないのかと思ったが、私の横を通り過ぎ、鐘楼まで走り着き、数回礼拝し、鐘を突いた。私と長話していた為、定時の鐘に遅れそうになったようだった。

巡礼では、参拝してからご朱印を頂くようにしているのだが、この日は先に観音堂にお参りすると、十二時過ぎになってしまうという時間だった。昼の時間にご朱印をお願いする訳にはいかないので、先にご朱印をいただき、後でゆっくりお参りすることにしたのだった。


多羅葉樹(たらようじゅ)。葉に字が書けるため、手紙に使われることもあったらしい(住職談)。木の向こうには鐘を鳴らし終わった住職が・・・。
tarayou.jpg

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