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第十九番 大谷寺 -盤石-

19ooyazi1大谷石で知られる栃木県大谷町にある天開山大谷寺。宇都宮からバスに乗り大谷観音前で降りると、周囲は石切り場や岩肌あらわな山が連なり非日常の光景。仁王門を潜り受付で拝観料を払って中に入ると、大谷石の岩窟にはまるようにして本堂が建っており、その眺めに驚かされる。本堂に入ると、本尊の弘法大師作と伝わる磨崖仏の千手観音像。像高約5米、左右42本の手を持つ像は日本最古の石仏と伝えられる。薄暗がりの中に立つ観音像は神秘的。礼拝し、脇堂へと移る。

脇堂には、阿弥陀三尊、薬師三尊、釈迦三尊がやはり磨崖仏の姿でおわす。平安時代から鎌倉時代の作と言われ、国の特別史跡や重要文化財に指定されているようだ。仏像の前で祈りの歴史を感じていると、団体旅行らしい高齢の方々がどやどやと脇堂に入ってきて、へぇ、ほぉ、などと言いながら写真を撮ろうとしていた。ここは写真撮影禁止なのだが、そのことをこちらからは言いづらく、分かっていながら止めてさしあげることが出来ない自分に腹を立てていると、その時。天から声が聞こえてきた。「…写真を…撮らないでください…」と。わわっ、観音様のお声が、と驚いたがどうやら堂内放送のようだった。しかし、団体の方々が写真を撮ろうとしたのが何故分かったのだろうか。堂内を見回すと上の方に監視カメラらしきものがあった。おそらく堂内の様子は寺の方に見えており、禁を破ろうとするものが現れると、注意を促す放送を流すのだろう。観光であっても参拝には規律が必要である。自分も観音様の声で直々に怒られる感じを味わってみたい…と一瞬思ったが、そのために規則を破るのも間違いである。しかし、そんな事を思った自分がちょっと可笑しかった。

昔に比べれば、今は個人の自由が許される世の中。それだけに、自分で自分を律することが出来なければ堕落していくだけだ。巡礼者はいつも心に観音様を感じているのだろうか。自分はまだそういう気高い心は持てないが、俗っぽい自分、いつも何か隠し事をしているような自分、認めたくない過去を持っている自分…いろいろな自分がいることは認めていこう、と思った。

次の目標へと向かう道すがら、大谷の街には「盤石」という名の付いた食堂や宿があった。経営が安定していそうで安心感のある名だ。店に電話をしたら、厳かな男性の低い声で「はい。盤石でございます。」と言って欲しいな、などと勝手な空想をしつつ石の街を後にする。巡礼者はこの街で盤石なる「意思」を確認するのかもしれない。信仰ということからは縁遠い自分ではあるが、この世を生き抜いていく強く堅固な心は持っていきたい。

19ooyazi2前立の平和観音

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