第十八番 中禅寺 -瑞光-
曲り角が幾つも幾つも続くいろは坂を登り、バスは中禅寺温泉の駅に着いた。日光の駅から一時間弱であった。畔を暫し歩くと中禅寺の仁王門が見えてくる。門を潜ると、雪の残る山に沿う堂宇は華麗に在る。
境内の落ち着いた佇まいに心安らぐが、有名なご本尊との出会いを前に少し緊張してもいた。観音堂に入ると、立木観音と言われる十一面千手観音が立っておられる。高さ6mに及ぶ像は勝道上人の作とされ、中禅寺湖上に示現した観音の姿を桂の立木に彫ったものと言う。その穏やかで、どこかユーモラスな表情に心和む。初めて見るのに何故だか懐かしい。何時までも眺めていたい気持ちであったが、五大堂へと登り、激しく空踊る大雲龍の天井画を見る。格天井に描かれた日光の花々の絵も美しい。
花の季節や紅葉の時に訪れるのも良いかもしれない。しかし敢えて雪の溶け残る季節に此処に居り、春の到来に淡い期待を抱くというのもまた一興。煌めく光を抱く紺碧の湖から吹く風は未だ冷たかったが、優しい日の光に心はほっと暖かくなるのだった。華厳の滝を訪れ、人生の華と厳しさについて考えたりした後、次なる目標へと向かいまた歩き始めた。
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