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いつか晴れた日に

その日は、朝から雨が降っていた。

仕事から帰宅すると、カブトエビ節子は水の底で仰向けになり、もはや動かなかった。最後の数日は弱っていく様を全く見せず、清々しい往生であった。

節子が逝ってしまったのは残念だったが、不思議とそれ程悲しくはなかった。もちろん愛着がなかった訳ではない。一人の死はその生命の完結であり悲しいことではあるのだが、受け継がれてゆく生命の連鎖の一つの役割を無事終えたことを認め、輝ける命の終わりに拍手を送りたいと思ったのだ。

平均寿命の約半分の時間で行ってしまった節子。しかしその一生は生命の輝きに満ちた堂々たるものであった。そして、私に命の尊さを教えてくれた。

窓の外を見ると、雨足が強くなっていた。雨は川に流れ、そしていつの日か海に辿り着く。生物の命も受け継がれ、続いてゆく。人は…自分は何処へ向かっているのだろう…。

いつか晴れた日に、カブトエビの卵を海に帰しに行こう。そして自分も、帰るべき所に帰ろう。

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